なるをの日々徒然

日々のアレコレをツレヅレします。

マスク是非論

昨今、ネットニュースを賑わせている「接客業のマスク着用の是非」ついて。

この話題は今回初めてのことではなく、毎年インフルエンザが流行する時期に問題視されてきた事です。

元販売職の私としても思うところはあります。

 

ちなみに3年前のインフルエンザ大流行の時に従業員のマスク着用を禁止した某大手百貨店では、従業員およそ140名以上がほぼ同時期にインフルエンザに罹患し、あわや臨時休業か⁈という大混乱が発生しました。

百貨店内での感染ですから、販売員を送り込んでいるテナントからはクレームが入り、テナントの販売員だけでなく百貨店の社員も次々と倒れるに至って、ようやくマスク着用を許可するという大失態。

これはもはや人災です。

 

ニュースなどで見る、マスク着用の是非についての根拠の対比が酷いもので、着用禁止を謳う客側の理由は「拒絶されているようで不快」「コミュニケーションが取りにくくなる」といったものでした。

マスクを付けた顔を個人的に不快に思うかどうかはこの際、理由としてはあまりにも薄弱ですし、マスク=コミュニケーションが取りにくい、というのも根拠が薄いと言わざるを得ません。

コミュニケーションが取りにくい販売員はマスクをしていなくても取りにくいですし、コミュニケーションが取りやすい販売員はマスクをしていても取りやすい。

これはマスクのある無しとは関係がありません。

 

かたやマスク着用推進派の販売員の理由は、ひとえに「感染予防」です。

自分自身と、そこから派生するお客さんへの感染拡大の予防。

至極真っ当な理由です。

 

インフルエンザが流行するのはいつも、年末年始の繁忙期。

万年人手不足の販売業界では、体調が悪くても休めない、休ませてもらえない時期と重なります。

体調が悪い時は休ませて欲しい、という真っ当な本音を押し殺して、せめて体調管理(予防)をさせてくれという代替え案なのです。

 

販売の仕事は、マスクをしながらするにはしんどい仕事です。

重たい荷物の上げ下ろしや、バックヤードやレジへの素早い行き帰り、効きすぎた暖房で空気も薄い中、お客さんと会話もしなければなりません。

お化粧だって崩れてしまうし。

本来ならマスクなんて好んでするものではないのです。

 

マスク禁止派はインフルエンザを「ちょっと酷い風邪」ぐらいに思っているのでしょうか。

人が亡くなる可能性がある伝染病なのに。

個人的には、「人の命」と「自分が不快だという感情」のどちらが大切かもわからない人の意見を尊重する必要はないと思います。

ましてや禁止派の中心は50代から60代以上の中〜高齢者が多いとか。

インフルエンザに罹患したら、体力的にヤバいのは自分達なのに。

 

もし従業員のマスク着用を禁止するのなら、入店するお客さん全員にマスクを着用してもらいましょう。

大して笑顔でもないお客さんの表情は別に見えなくてもいいし、コミュニケーションが必要な時には販売員の方から取ればいいんですから。

 

これは昔からある「お客様は神様」と思い込んでいる日本人の悪い習慣の表れですし、ひいては職業蔑視にもつながる重要な問題なのだと感じます。

 

一度発表してしまった事ではありますが、翻すのは恥ずかしい事ではありません。

大手さんなだけに、他の同業者への手本、指針となるべく、賢明な判断をお願いしたいところです。

 

あくまでもこれらは私の個人的な意見です。

ニュースソースも偏っているかもしれません。

それでも、長い間接客業に携わってきて、現在は客の立場である私の本音なのです。