引っ越し顛末記〜その7「涙の別れ」
荷物の整理をするのに、何が辛いって本箱の整理です。
洋服は想像してたより案外あっさりと整理できました。
服を買うのは言わば「仕事の延長」みたいなもんでしたから。
大きなゴミ袋に詰めて15袋。
捨てるものが5袋。
笑えるほどたくさんありました。
まだ充分に着れる15袋はすべて母と妹行きです。
なにかしら上手いこと処分してくれるでしょう。
これで洋服、靴、バッグの断捨離は完了。
それよりも問題は本とマンガです。
読了して「それほど」と思ったものはその都度処分してきたつもりなので、手元に残っているのはどれもお気に入りばかり。
その数、溜めも溜めたり約2500冊。
正確に数えたわけじゃないけど、およそ90冊入る箱、28箱分ぐらいでしたよ。
本を読み始めたのは中学2年生の頃から。
プレステを初めて買った頃からペースは若干落ちたものの、年間およそ100冊ペースで35年、ひたすら読んでいました。
速読というのとは違いますが、本を読むのが非常に早くて、300ページぐらいならほぼ1日ほどで読み終わってしまいます。
不思議なもので、それほど夢中になって読んだものは、1度読んだだけで何十年たっても内容を覚えています。
30年ほど前にハマったSF物で、平均400ページ全35巻のシリーズの内容を、あらすじを説明できるほどはっきりと覚えていたりもします。
そんなお気に入りの本は「歳をとって時間がたくさんできたら、また最初から読み直そう」と大切に保管していました。
若い頃はそんな事を考えていましたが、いざ本当に歳を取ると、老眼が始まり文字を読むのが辛くなってしまいました。
時代は映像文化に変わり、私自身もYouTubeばかり見るようになりました。
それでも、映画のあらすじ動画なんかを見ていると「この作品の原作を読んだことがある」というものがたくさんあります。
新居には本を置いておくスペースがない、という理由で処分に踏み切りましたが、思ったより辛い作業でした。
表紙やタイトルを見ただけで、どんな内容か覚えているものばかりで、どれも愛着のある作品です。
そんな中、どうしても処分できないマンガ作品をほんの少しだけ持って行きます。
これだけはなんとしてもスペースを確保します。
そしておそらく私が死ぬまで手放さないと思います。
「風呂上がりの夜空に」小林じんこ
(敬称略)
引っ越しまであと7日。